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大地の音 part2 (2002/Aug)

「へー、何それ、他の音も出るの?」
「音階とかはあるの?」
「ふーん。お、面白いね。 ところでさぁ、、」

3年前に意気揚々と竹製のディジュリドゥーを大学に持っていった時の周囲からの反応はこんなもんだった。一部の民族音楽好きには受けたが、他の人々には全く相手にされなかったと言っても良い。
その時に強烈に思った。「いつか、この楽器で人を感動させてやる」と。

7月の21日と22日に僕は栃木県の益子町にいた。ジャンベという西アフリカ原産のさまざまな音色を出す太鼓を叩く人が集まる祭りがあると知人に誘われたのだ。
半分は、研究のためのフィールドワークのためだった。

ダムを見ながら奥に進むと開けた原っぱになっていて、そこに人が集っている。
福島の獏原人村という自給自足を基本とした集落に住み全国を軽ハコで移動している人や、楽器作りや幼稚園での音楽ワークショップをやっている青年、仕事をしながら土日は練習やジャンベなどを使ったライブをやっている人、食えないミュージシャン、ジャンベ屋さん、農業をやりながらジャンベをこよなく愛する青年、見るからにラスタ・マン、季節労働をしながら音楽イベントを渡り歩く人、陶芸家などさまざまな人が集まっている。
学生は恐らく僕だけだった。

「調査しに来ました」では確実に壁を作ってしまう。恐らく友人にもなれないだろう。どのようにコミュニケーションを取るのか、それが問題だった。僕はジャンベを叩けるわけでもない。だが、ディジュリドゥーがあった。

到着してまもなく、中央の広場には皆が集まってジャンベセッションをしている。さすがに、それに入り込む余地はないと思っていた。
そのセッションが終わったあたりで、僕はおもむろにディジュリドゥーをもって移動した。
以前会ったことのある、鉄楽器職人のてっちゃんがジャンベを湿気から守るためにしまおうとしていた。
「てっちゃん、ジャンベしまっちゃうの?ちょっと遊ぼうよ。」
「おお、良いよやろうやろう。」

ディジュリドゥーをそこに転がっているジャンベの後ろに差し込む。音の反響が倍増して、マイクなしでもかなり良い音が響くようになるのだ。

てっちゃんは一定のリズムをジャンベで刻んでくれる。僕はそれに合わせてディジュリドゥーを吹きまくる、吼えまくる、ビートを刻みまくる。
途中から人が集まりだし、「おお、すげぇ」と呟いている。ジャンベで参加する人も出てくる。
視線が痛いので目を閉じて、周囲のささやきが非常に気になりながらも演奏を続行する。10分ぐらい吹きまくり、吼えまくり、刻みまくったところで、てっちゃんのジャンベがスローペースになりジャムセッションは終了。

「ウォーオオ」と拍手と声が方々から上がった。「スゲェ、どのぐらいやってるんですか?」「いやー、良いですねぇ」といろいろな人が言ってくれる。

「いやいや、ほんの3年ぐらいしかやっていないし、大して上手い方ではないですよ」と正直に言うが、

「いやいや、関係ないよ。僕は人の演奏とか滅多に褒めんけど、今のは気持ち良かった。なかなかグッドだ。」
「今何してんの?ディジュでライブとかやってるの?」
「それで食ってけるとちゃうん?」
「いやー、君のディジュリドゥーは最高だ。」
「感動した。」
「途中まで車を取りに下りていったら、良い音がするからまた上がってきちゃったよ。」
「今度一緒になんかやろうよ。」
なんてことを言ってもらった。
一番驚いたのは自分だった。

芸は身を助けるというが、その後のジャンベ陣との交流はかなりスムーズにいった。ディジュリドゥーを吹く人間として認識されているからだ。
ただ、あまり時間がなかったのと、大抵の時間をジャンベ演奏に没頭している人たちと多くを語ることは難しかった。僕自身も途中から「調査」といったことを忘れはじめていたこともある。

技術的に上手い下手ということが分かりにくく、その人の吹き方とかフィーリングといったものが直に出る楽器だ。音階や楽譜が分からなくても全く問題はない。
演奏をする場所や雰囲気といったものも大きく関係してくる。ダダッ広い原っぱで吹くと地面を伝わって少し離れたところまで音が届く。大地と共鳴する。

人を感動させるという当面の目標は達成された。次はどんな目標を作ろうか?
倉さんとの出会いから3年以上たった。今、こんなことになってます。

dedjejoint.jpg
↑最近は、ジョイント式のディジュリドゥーが仲間入り。nomad life にも対応中。

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2005年09月12日 21:19に投稿されたエントリーのページです。

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