減反・転作という言葉を聴いたことがあるだろうか。簡単に言えば、「田んぼで米を作るな」ということだ。言うことを聞かないと、農協を通して米の出荷が出来なくなる。じゃあ何を作るのか?全国の農家がいろいろ試行錯誤をしている。秋田県平鹿町を回っていた時に、転作作物として雑穀の作付けを増やしている現場に出くわした。

水田地帯に突如現れる真っ赤なアマランサス。神々しささえ漂う。
平鹿町では岐阜パールライスと契約栽培をしている。無農薬で栽培し、生産されたものは岐阜パールが買い取るという方式だ。販売はパールライスがする。田んぼよりも手間が掛からず、1反当たりの収入もそれほど米と変わらない。「まあ、まだまだ技術が確立されたわけではないから分からないけれども、手間が掛からないから良いと思う。薬を使えないから、雑草との闘いだね。ま、薬代もかからんし、コストも下げられるけどね。しかし何といっても収穫がタイヘンだね。コンバインも雑穀専用なんてないからさ、稲用で刈り取るとロスが多くて、ボロボロと落ちてしまうんだ。手で刈り取っている人もいるけどさ。広い面積だとやってられないぜ」と農家。アマランサス、モチキビ、ヒエ、モチアワ、ゴマなどが作付けされていた。雑穀は5月末に播種して10月には収穫する。5ヶ月の栽培期間。

農協へ委託してコンバインで刈り取る。ロスが多いと言われているが、手でやるよりも断然早い。
僕は、東京の「つぶつぶカフェ」で友人が働いていることを思い浮かべながら、「東京でも雑穀が流行っているようですよ」と話をする。60代以上の人にしてみれば、雑穀は貧しさの象徴でもある。米が食えない時に、麦飯やヒエご飯などを食べてしのいだ。その時のヒモジイ思い出があるからか、雑穀を積極的に食べるという発想がなかなか受け入れられない人も多いとか。雑穀栽培歴3年の農家75歳に聞いてみる。「オトーさんたちも雑穀食べるんですか?」その農家は苦笑いをしながら、「いやぁ、米に混ぜて食べると良いとは聞いているけど、食ったことない。ガハハハハ!こっちでは、フツーにその辺で出来る野菜を食ってれば健康に気を使う必要もないしな!!」
岐阜パールライスでも、雑穀の消費拡大のために料理コンテストを開催している。平鹿の農家もさまざまなアイディアを提供しているとのこと。健康と美味しさの両面から雑穀が見直され始めている。先日、名古屋で寄った「空色勾玉」でも雑穀料理を出している。そういえば、実家の冷蔵庫にもいろいろな雑穀が入っている。一時期は雑穀がご飯に混ざっていない日はなかった。日常職の中に雑穀が取り入れられて消費が拡大していけば、「米を作るな」と言われる農家も雑穀を作って稼いでいけるかもしれない。健康と美味しさと農家の生活とが上手な好循環で結ばれるかもしれない。

アマランサスの出荷準備。脱穀したものをふるいに掛けて選別する。「時間までに持ってかなきゃだかんね。忙しいよ」と相手にしてくれない。