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山が荒れケモノが出る 福井県高浜町

福井県の山間部を回っていた時のこと、畑は網や電気柵で囲われている場所ばかりでした。百姓が丹精込めて作った野菜もイネもイノシシ、サル、シカ、ムジナ、カラスなどの鳥獣が食べてしまうのです。「あいつらは一番美味い時を知っているんだ。明日収穫しようと思っていると、まさにその早朝に入ってきて食べるんだよね。まったく憎たらしい」と。鳥獣害はなかなか深刻です。あまりにひどいと「何のために作っているのか分からない。サルのエサを作っているようなものだ」といった感覚になってきて、生産意欲が失われてしまうのです。そのぐらい害がヒドイ。「小豆を全部やられた」とか「サツマイモをほじくり返された」とかいろいろな被害話を聞かされます。イノシシは畑を囲っているトタンを倒して入ってくるとか、サルが電気柵に竹を引っ掛けて感電しないようにして入ってくるとかそんな話も聞かされます。普段のうらみつらみを農家が吐き出すときはそりゃぁ、すごい剣幕なんですね。

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手前が電気柵 その奥にネットが2重に張ってある。相当高いところまでネットで覆ってある。「どうやって人が入るの?」と思うぐらいの畑。そのぐらいしなければ、作物が守れないという。畑にはじゃがいもや小豆などが植わっていた。

いろいろな人と話していたら、山が荒れてきたこととケモノが畑まで出てくることには関係があると聞きました。昔は生活の一部として山に入り薪を取り、山菜やキノコを採るということが日常的に営まれていた。薪が必要とあれば、適度に雑木林が間伐されていたし、キノコ・山菜採りが続けばそこに人が通る道があった。そうやって人間が山に入っていれば、人間の匂いと気配が山にあり、ケモノは人里近くまでやってくることが少なかった。しかし、今、農家の高齢化と生活スタイルの変化によって、山の手入れがおろそかになっている。薪など取ってこなくても、ガスや電気で火を使えるし、キノコや山菜も買ってきた方が安い。そういった便利さの影で山は荒れ、ケモノの棲みかが増え、人がケモノを追って行こうにも道がなくなっているといった事態になっている。

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農家の倉庫に高く積まれた薪。それほど太いものはなかったが、山から取ってきたのだろう。

杉や檜ばかりを植林し、実のなる木々が山から消えたことも、ケモノたちが人里まで降りてきて畑の野菜を物色する原因のひとつだと言われています。
鳥獣害には決定的な対策がないのが現状です。諦めて栽培を止めてしまう人も中にはいますが、根気強く、ケモノと知恵比べをしながら作り続ける人も多いです。「毎年毎年サルやシシにやられるのに(食べられてしまうのに)、毎年毎年、作物植えて。ワタシャ病気だよ」と笑いながらある母ちゃんは言っていました。それでも、畑に出る、作物を育てることを止めない、百姓のしぶとさと誇りを垣間見た気がしました。
高浜町の鎌倉という地域では、ケモノに負けず、農家のばあちゃんたちが「100円店」(無人直売所)を作って、舞鶴から来る人や舞鶴へと向う人に新鮮な野菜を届けていました。

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2005年11月03日 00:17に投稿されたエントリーのページです。

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