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Organic Base マクロビオティックと暮らす

奥津典子(2004)『Organic Base マクロビオティックと暮らす』東京:ビジネス社

これまでの移動遊牧生活で食に気を使うことはほとんど無理だった。僕にとってこの1年9ヶ月は「与えられる食事」を摂取するという酷な期間だった。宿暮らしなので、否応なしに食事を与えられるのだ。あまりにヒドイ食事しか出てこないところは、素泊まりにしていた。朝は直売所でトマト・キュウリなどの生食用野菜を買い溜めしておき、天然酵母パンや直売惣菜などと組み合わせて、それでしのいでいた。夜は宿の近くでマシな食堂などを見つけて、そこに通っていた。
食と農に興味があると言いつつ、そういった仕事をしつつ、自分の食は散々だった。その影響なのか、去年の春には花粉症に陥った。風邪のような症状になり、変な色の鼻水が止まらなかった。おまけに秋口にはいわゆる「ブタクサ」の花粉症になったらしく、やはり風邪を引いたような症状に陥った。「花粉症などにはならない」「なれるものならなってみたい」という根拠のない自信があったのだが、もろくも崩れ去った。

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奥津さん(本の著者)には「食が悪い!」と言われそうだ。刺身とカレーだとか、揚げ物オンパレードだとか、明らかにその辺のスーパーで買ってきた出来合いの寿司弁当だとか、いやはや方々でいろいろなものを摂取した。化学調味料たっぷりの食事や冷凍食品、レトルト食品、質の悪い野菜や米なども相当身体の中に取り入れた。否応なしに。自分で望んだわけではないが、マクロビオティックとは正反対の食の乱れを体現していた。それが、花粉症となって出てきたのかもしれない。
マクロビオティックとは簡単に言ってしまえば、素材選びから調理法、食べ方までトータルに考える食の法則であり体系だ。質の良い素材を丁寧に調理して、美味しく食べる。その時に大切なのが、陰陽のバランスだという。陰=遠心力=ゆるむ、広がる、上昇するというイメージ。陽=求心力=集まる、引き締まる、下降するというイメージ。食べものにもこの陰陽のエネルギーが備わっていて、それをバランスよく食べる=取り込むことが大切ということだ。
通称マクロビといわれるこの食に対するアプローチを僕はなんとなく知っていたけれども、じっくり向き合う機会はなかった。奥津さんの本を読むと軽いテンポとゆるいテンションで文章が書かれていて本当に読みやすい。肩肘張らずにマクロビを紹介している。「~であらねばならない」といった言い方をされると大抵反発してしまうのだが、「マクロビオティックは法則であって規則ではありません。昨日よりマシを目指してできるところから始めてみましょう」というスタンスがス~っと自分の中にも入ってくる。
自分の食生活をマクロビオティックに沿って全てデザインしようとまでは思わない。けれども、食と心身の健康の関係性や調味料や素材そのものに対する考え方はすごく参考になる。たとえば、玄米。玄米は水に浸けておくと発芽する。いわゆる発芽玄米になる。これは、生きているから。精製してしまった白米は水に浸けておくと腐ってしまう。これは、ある意味では死んでいるからだという。エネルギーと栄養価が一番詰まっているところを削り取った白米をありがたくみんな食べている。僕も食べている。白米にすると噛む回数が少なくなるので、時間のない現代人には適しているのかもしれない、と。玄米をじっくり噛んでそのエネルギーを得るというのは、なるほど面白い発想だ。そして、何よりも甘みがあって美味しい。そういえば、つぶつぶカフェ(雑穀)で働いている友人も同じようなことを言っていたなぁ。
いろいろな刺激から新天地では、玄米菜食をて~げ~(テキト~)に始めてみようかなぁ、と真剣に思うようになった。動物性を一切取らないのがマクロビの法則、それに挑戦していけば「欲しくなくなる」とも書かれている。僕は基本的に動物性の食品も感謝して美味しく食べれば良いと思っている。その土地土地には気候風土と歴史に裏打ちされた多様な食文化が脈々と形成されており、それには敬意を払って良いと思う。西表島で食べたカマイ(イノシシ)の刺身は美味かった。山の恵み、自然の恵みとして山の神様とのつながりを感じながら食す。それが文化であり、その土地の人々のローカルな生活と密接に結びついている。そんなことを考えながら、「でもまぁ、本当に自分が動物性のものを欲しくなくなったらそん時はそん時だなぁ」と思ったり。実際、最近それほど肉食に魅力を感じないのだ。そして、本でも紹介されている良い素材の蒸し野菜が美味いのだ。そんな食生活を続けることで、身体が変わってきたら面白い。花粉症、消えないかなぁ。
食と心身の健康とのつながりを考えるきっかけとしては良い本でした。移動遊牧の後で定住農耕にシフトしようとしている中で、身体性を食と運動によって取り戻すというのが僕の目下の関心なのです。まだまだこれからだけど、生活を組み立てるって、ワクワクする。

評者:後藤 彰

コメント (2)

SaY:

こんちは。
玄米食べてるとおかずがあんまりいらないです。
で、一つか二つおかずを作ろうかなと思うとき・・・知らず知らずに野菜のおかずを選んでしまう。
1年間、マクロっぽい食事を実践したところどうもそういう感じ。

普通に健康な人はあんまり「ねばならない!」って考える必要ないし、食べたくなければ5分づき米でもいいよっていうのが、マクロの気に入っているところです。
何より、野菜料理がすごく上手になるよ。

こんにちは。SBSのサイトから来ました。赤村合宿でお会いしてますね。
私も、ゆる~いペースでマクロを始めて数年になります。Sayさんの言われるように、玄米食べてたら少しのおかずでいい、っていうところが楽だし、たまには羽目をはずしても基本おさえたらまあいいか、ってところで、無理なく続けられそうな感じです。
魚などもたまにはおいしくいただいていますが、それほど肉を食べたいと思わなくなったのは確かですね。体が変化してきてるのでしょうね。

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2006年01月23日 12:12に投稿されたエントリーのページです。

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