いづれいづれ
「ヴぇ?ゴトー君にもそんな時代があったんですか?」
赤村の友人と酒を酌み交わしていて言われた言葉。言った当人はそれほどの意味を込めていないと思うけれども、僕にはズシンと響いた。
「ヴぉ、普段オイラはどう見られとると?」という不安と期待を裏切って「してやったり」という意味の分からない感覚と。
話の文脈は大学院まで行って修士論文をめちゃくちゃ集中して書き上げたこと、平気で15~16時間机に座りっぱなしで読む、思考する、書くといったことをやっていたことなんかだった。
確かにその頃の生活スタイルと自分のモードから比べると今は非常にスローな状態だ。でも、ギアをシフトさせればいつでも院時代の集中力に持っていけるという根拠のない自信が自分の中にある。自信なんてものは、僕の場合、いつだって根拠がないのだが。
でも、ギアのシフトはどうやら錆付いているらしく、なかなかチェンジが利かない。
「いづれいづれで日が暮れる」
そう、この田舎で日々の生活。3度美味いものを食って、風呂を薪で沸かしてから入って、いろいろな仕事をしていたら、あっという間に日が暮れる。
「あれ、今日一日で自分は何をしたんだろう?」と考えるとちと不安になるが、「まあ、いいか」というテキトーさで乗り切る。
「いづれいづれ」とつぶやきながら、今ここの暮らしを充実させ成立させる。それだけで、相当な集中力を使っているということにしておこう。
赤村に来て1ヶ月半、そろそろシフトの錆も落としながら、柔軟にいきたいものだ。
「いづれいづれ」



