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早朝仕事体験記

前に「与え、与えられる」という話を書いた。僕はもらっているばかりだ。その日も、昼ごはんを裏食堂でご馳走になっていた。「あんた、明日おばちゃんたち忙しいけん、加勢にこんね?」冗談だかほんとだか、カクさんがそう言った。
僕も深く考えずに、「あ、いそがしんだ。じゃ、2~3時間働きにこよっか?」「そーね。嬉しいわ。3~4時間加勢に来てくれるってさ」と。何故か僕の申告した時間よりも労働時間が増えて周囲のかーちゃんたちに伝わる。
「げ、ほんとに来ることになりそうだ。ま、2~3時間なら」と甘い考えの僕。
「じゃ、4時に来てね。まっちょるよ!!」かーちゃんたち爆笑。
冗談かと思っていたら、本気で朝の4時出勤だそうだ。
内心ムリムリと思いながら「起き次第来ますよ」と返答する。
「ゴトー君が明日4時に来るって言いよるバイ!」とカクさんは周囲のかーちゃんたちに大きな声で伝えて歩く。周囲も盛り上がる。
僕はもう腹をくくるしかない。やはり、数段ウワテだ。
というわけで、その日は早めに眠りに付き、気合を入れて次の日に臨んだ。
目が覚めたのが、3時50分。布団の中でちょっと油断をしたらいつの間にか4時20分。「やヴぁ」と叫びながら、そのまま原付で加工所へ。うっすらと空が青くなっている。すごくスガスガシクテ気分がいい。
早い人は2時からご飯炊きの準備をしているという。加工部かーちゃんたち勢ぞろい。
「ほ~、ほんに来よったね」「起ききらんって言いよったけど、起きれたんねぇ」と皆ニコニコ。
加工所の惣菜部は注文を受けて弁当を作っている。その日は、カラオケ屋の3周年だの運動会の弁当だのが重なり200個以上の弁当を作らなければいけない。それも、ほとんどが昼前までに。

kakojooba.jpg

大量の弁当具材を弁当箱に詰めていく。から揚げ、煮しめ、漬物、ごはん、煮豆、酢の物などなど。「ほいほい、ここ卵ちゃん抜けとるよ~」「タッキーちゃん、煮しめはまだあるかい?」「天ぷらあがっとるよ~」「カクさ~ん。煮豆が切れたよ」「じゃ、(グリーン)ピースを甘く煮ようか。それなら間に合うばい」と、トニカク声掛けが基本の職場。
年季が入っている分、周囲に対する配慮というか自然な身のこなしというか、嫌味が全然ない、明るい、笑いが絶えない、機転が利く。ポッと現場に入った僕でもスムーズに働ける。
8時ごろ小休憩。朝食をいただきながら、「そろそろ帰れるかなぁ」と内心思いながらも終わる気配がない弁当詰め。目の前にはプラスチックの弁当箱が所狭しとならんでいる。「さ~て、もうひとがんばりしよっかね!」ということで、僕の手伝いも続行。結局、その日は朝4時半~12時半まで8時間加工所で手伝い仕事。
仕事後にはご褒美にビールと昼食をもらった。「ほんに、助かったバイ」「またきてねぇ~」「若いニイチャンと働くと元気になっていいことね」「あんた、はよ嫁みつけんしゃい」などなど愉しいやりとりが続く。
しっかし、よく働くかーちゃんたちだ。僕が帰った後は次の日の仕込みをしたり、漬物を漬けたりといった仕事をする人もまだあるとか。
60~70歳の人たちが主力ですよ。彼女たちが、赤村の「赤ん弁と」というある種のブランドを支えている。いやぁ、こちらも気合を入れなおさんといかんですね。
何はともあれ、一度ああいった時間を共有すると打ち解けるのが早い。それ以降、僕はしっかり「コーヒー屋のニイチャン」から「ゴトーくん」に格上げされていた。
数週間が経ったある日、カクさんから「あんた、昨日の日曜は忙しかったんよ。『今週の日曜は時間ありますけど、手伝いにきましょ~か?』とかって申告せんね?」と。「言われれば行く」というのでは、まだまだ甘いようです。やはり、先に与えないとですね。しかし、加工部かーちゃん、ウワテです。近々、早朝仕事にまた行ってきます。

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2006年07月09日 21:40に投稿されたエントリーのページです。

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